先ず、この映画を見るにあたって歴史的背景を知っているのといないのとでは全然入ってくるものが違うという点です。歴史的ジェノサイドが行われたことも、そして今現在起きているイスラエル、パレスチナ戦争の見方も、変わってくるかも知れません。簡単に歴史的背景を知ったうえで、見ていただきたい映画です。この映画は、きっとあなたの人類史や民族という概念を変えてくれるほど衝撃的で、考えさせられる作品となることは間違いありません。

ホロコースト(Holocaust)は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人を中心とした特定の民族や社会的集団を大量虐殺した歴史的事件です。この大量虐殺は、ドイツ語で「全体的解決(Endlösung)」と呼ばれ、ナチスのユダヤ人絶滅政策を指します。詳しく解説します。
1. ホロコーストの概要
期間:1933年(ヒトラー政権開始)から1945年(第二次世界大戦終結)まで。
犠牲者数:約600万人のユダヤ人が殺害されました。
他にも、ロマ(ジプシー)、身体・精神に障害を持つ人々、スラブ系民族、共産主義者、同性愛者、政治犯、宗教的少数派(エホバの証人など)が犠牲となり、総計1100万人以上が虐殺されたと推定されています。
手段:強制収容所でのガス室による殺害、飢餓、過酷な労働、射殺、医学実験など。
2. ホロコーストの背景
ナチスのイデオロギー
アーリア人至上主義: ナチスはアーリア人(主に北欧系白人)を「優れた人種」とし、ユダヤ人やロマを「劣等人種」と見なしました。
反ユダヤ主義: ヨーロッパで長年続いたユダヤ人への偏見や差別が、ナチスによって極端な形で利用されました。ヒトラーは『我が闘争(Mein Kampf)』で、ユダヤ人を「ドイツ民族の敵」として糾弾しました。
政治的背景
第一次世界大戦後のドイツは、敗戦の屈辱や経済不安(特にハイパーインフレと失業率の増加)に苦しんでいました。
ヒトラーとナチスは、これらの問題の原因をユダヤ人や他の「非アーリア人」に転嫁し、国民の支持を得ました。
3. ホロコーストの主な出来事
1933年~1939年:迫害の始まり
1933年:ナチスが政権を掌握し、ユダヤ人排除の政策を開始。
ユダヤ人の公職追放、教育や職業からの排除。
1935年:ニュルンベルク法の制定。
ユダヤ人を「ドイツ市民」としての権利を剥奪。
ユダヤ人とアーリア人の結婚や性関係を禁止。
1938年:水晶の夜(Kristallnacht)。
ユダヤ人の商店、シナゴーグが破壊され、多数のユダヤ人が殺害され、逮捕された。
1939年~1941年:戦争の拡大とゲットーの設置
第二次世界大戦が始まり、ポーランドや東ヨーロッパに「ゲットー」(ユダヤ人を強制的に住まわせる地区)が設置されました。
ユダヤ人は過密状態で生活を強いられ、飢餓や病気で多くが命を落としました。
1942年:ユダヤ人「最終解決」
ヴァンゼー会議(1942年1月):ナチス高官が「最終解決」を計画。
ユダヤ人の全体的な抹殺が公式に決定されました。
強制収容所(アウシュビッツ、トレブリンカ、マイダネク)が大量虐殺の中心となりました。
アウシュビッツでは毒ガス「チクロンB」が使用され、多数の人々が殺害されました。
1944年~1945年:終戦と解放
ソ連やアメリカ、イギリスの連合軍が収容所を解放。
収容所の実態が世界に知られることとなりました。
生存者は極めて少なく、多くが健康を損なった状態で解放されました。
5. 現在の視点と課題
倫理的・社会的影響:ホロコーストは人類史上最大の人権侵害の一つとされ、戦後、国際人権法やジェノサイド条約の制定に繋がりました。
ユダヤ人国家の設立:1948年、イスラエルの建国はホロコーストの影響を受けたとされています。
記憶と教育:ホロコーストの悲劇を忘れないため、世界中で記念館や教育プログラムが設立されています。
5. 現在の視点と課題
否定論者の存在:ホロコーストの存在や規模を否定する「ホロコースト否定論者」が一部に存在します。これに対して、学術的証拠や証言が用いられて反論されています。
再発防止の取り組み:現代社会でも、ヘイトスピーチや民族差別が問題視されています。ホロコーストを教訓として、差別や迫害を防ぐための活動が続けられています。
ホロコーストは人類史における大きな悲劇であり、その教訓は現代においても重要です。虐殺の規模や背景を理解することは、再発防止や平和な社会の構築に繋がります。

映画『シンドラーのリスト』は、第二次世界大戦中にナチス占領下のポーランドで、約1,200人のユダヤ人を救った実業家オスカー・シンドラーの実話を描いた作品です。スティーブン・スピルバーグ監督によるこの映画は、1993年に公開され、アカデミー賞で7部門を受賞するなど高い評価を受けました。
映画の見どころ
1. 実話に基づいた感動的なストーリー
主人公オスカー・シンドラーは、当初は利益追求型の実業家として描かれますが、徐々にユダヤ人の苦しみに共感し、財産を犠牲にして命を救う英雄的な行動を取ります。この「人間性の変化」が物語の中心的なテーマです。
2. リアリズムを追求した映像表現
映画全体がモノクロで撮影され、戦争の残酷さや緊張感がリアルに描かれています。一方で、赤いコートの少女だけがカラーで表現されるシーンは、無数の犠牲者の中に個人の命の重さを象徴的に表現し、強い印象を与えます。
3. 俳優陣の名演技

リーアム・ニーソンが演じるオスカー・シンドラーは、複雑で多面的なキャラクターとして高く評価されています。
レイフ・ファインズが演じるアモン・ゲート(ナチス将校)は、冷酷でサディスティックな人物でありながら、人間性の一面も垣間見える演技が話題となりました。
4. スティーブン・スピルバーグ監督の卓越した演出
ホロコーストの悲惨さを描く一方で、希望や人間の善意の力も見事に描いています。
音楽を担当したジョン・ウィリアムズの感動的なテーマ曲も、映画の感情的な深みを加えています。
5. ユダヤ人救済の実際の記録
映画のクライマックスでは、シンドラーが救ったユダヤ人たちが「シンドラーのリスト」として生き延びたことが分かり、歴史の現実に触れる感動的な瞬間が訪れます。
視聴者の感想 肯定的な感想
1. 感動と衝撃
「戦争の悲惨さと人間の優しさを同時に感じられる映画。涙が止まらなかった。」
「映画を通じて、ホロコーストの恐ろしさと個人の行動の重要性を学んだ。」
2. リアリズムへの評価
「スピルバーグ監督の細部にこだわった演出が素晴らしい。史実に基づいたリアルな描写が心に刺さる。」
3. 教育的価値
「歴史教育の一環として見るべき映画。若い世代にもこの映画を観て欲しいと思った。」
4. キャラクターの魅力
「シンドラーの人間的な弱さと成長に共感できた。彼が変わっていく過程が感動的。」
批判的な感想
1. 残酷な描写の重さ
「リアルさを追求しているのは分かるが、暴力描写があまりに衝撃的で、観るのが辛かった。」
「モノクロの映像が暗く、見続けるのが心理的にきついと感じた。」
2. 長尺に対する意見
「約3時間という長さが少し辛い。内容が濃いので途中で疲れてしまう。」
3. ナチス側の描写への意見
「冷酷なナチス将校の描写が強烈すぎて、少し一方的に感じる部分もあった。」
社会的影響
教育の場での使用: 『シンドラーのリスト』は、多くの国の学校や教育プログラムで歴史教育の一環として使用されています。
ホロコーストの記憶の継承: 映画の成功により、ホロコーストについての認識が広まり、犠牲者を記憶に留める重要性が再確認されました。
『シンドラーのリスト』は、単なる映画ではなく、ホロコーストという史実に基づく重要な作品です。人間の残虐性と優しさの両面をリアルに描き、観る者に深い感動と強いメッセージを残します。辛い内容ですが、「なぜこれを忘れてはならないのか」を考えさせられる傑作として、多くの人々に薦められる映画です。この映画は賛否両論あるとは思いますが、私は数あるスピルバーグ作品の中でも屈指の作品だと断言します。涙が止まらなくなったのも事実です。 最後まで見て頂きありがとうございます。