日本では気にしないことでも、海外ではタブー(禁忌)とされる行為や言葉が数多く存在します。異文化理解のために、いくつかの国や地域で特に注意すべき禁忌を詳しく紹介します。
中東・イスラム圏の禁忌
① 左手で物を渡す・食べる(イスラム文化圏、インドなど)
理由
左手は「不浄の手」とされ、トイレ後の処理や不潔な作業に使うものと考えられている。
食事の際や物を受け渡す際に左手を使うと、失礼にあたる。
避けるべき行動
右手で食事をする(手で食べる文化がある国では特に重要)。
人に何かを渡すときも、必ず右手を使う。
② 足の裏を他人に向ける(アラブ諸国・タイなど)
理由
足は「体の最も低い・汚れた部分」とされ、足の裏を見せることは侮辱とみなされる。
例えば、足を組んで座ったときに、相手に足の裏が向くと失礼になる。
避けるべき行動
座るときに足を投げ出さない。
寺院やモスクでは足を揃えて座る。
③ 公共の場での男女のスキンシップ(中東、インドなど)
理由
イスラム圏では、男女の接触に厳しい規則がある。夫婦や恋人でも、人前で手をつないだり、ハグしたりするのは避けるべき。2007年にハリウッドスターのリチャード・ギアがエイズへの関心を高めるチャリティーイベントに出席しインド人女優のシルバ・シエッテイの頬にキスをしたことが、インドの観衆を激怒させるという事態を招いたことがあります。男女が公共の場所で肌を触れ合わせる行為は大変ショッキングで、当時リチャード・ギア氏に対し逮捕状まで出る騒ぎとなりました。
インドでも公の場でのキスは不適切とされる。
避けるべき行動
人前で過度なスキンシップを取らない。
挨拶としてハグやキスをする習慣があるか事前に確認する。
アジアの禁忌
頭を触る(タイ、カンボジア、ラオスなど)
理由
仏教文化では「頭は魂が宿る神聖な場所」とされるため、たとえ子どもであっても頭をなでるのは失礼。
逆に足は低いものとされ、特に僧侶の前で足を組むのは無礼。
避けるべき行動
友人や子どもの頭を気軽に触らない。
僧侶と接するときは、慎重に行動する。
名前を赤色で書く(韓国・中国)
理由
赤いインクで名前を書くことは「死」を連想させるため、非常に縁起が悪い。
かつては死者の名を赤で刻む習慣があったため、生きている人に対して赤で名前を書くのは不吉。
避けるべき行動
名前を書くときは黒や青のペンを使う。
赤ペンで人の名前を書かない。
箸を食べ物に突き刺す(中国・韓国・ベトナムなど)
理由
ご飯に箸を突き立てるのは、仏壇の供え物と同じ形になるため、死者を連想させる。
特に年配の人の前でやると、無礼とされることが多い。
避けるべき行動
箸は横に置くか、専用の箸置きを使う。
食事の途中で箸を立てない。
欧米の禁忌
OKサイン(手で作るジェスチャー)

理由
日本では「OK」を意味するが、国によっては侮辱的な意味を持つ。
ブラジル・トルコ: 性的な意味や侮辱的な言葉に相当する。
フランス: 「価値がゼロ」「無価値」という意味になることも。
避けるべき行動
OKサインの代わりに「親指を立てる」などのジェスチャーを使う。
現地の文化を事前に確認する。
片手でポケットに手を入れて握手(アメリカ・ヨーロッパ)
理由
片手をポケットに入れたまま握手するのは「相手を軽んじている」「無礼」と受け取られる。
ビジネスシーンでは特に失礼にあたる。
避けるべき行動
しっかりと相手と向き合い、両手を使って握手をする。
ポケットに手を入れたまま話さない。
ナチス式敬礼(ドイツ・オーストリアなど)
理由
ナチスに関連するジェスチャー(右手を上げる敬礼、ハーケンクロイツ(鉤十字)の使用など)は違法。

軽い冗談のつもりでも、罰則の対象となることがある。2016年11月に人気アイドルグループの欅坂46のメンバーたちが【ナチス風衣装】ナチスの軍服に似ているとしてアメリカのユダヤ系人権団体から、プロデューサーの秋元康氏、所属のソニー・ミュージックに対し謝罪を求めた。このニュースは欧州各地で報道されました。
避けるべき行動
歴史的にデリケートな問題には触れない。
SNSや写真でも不用意にこのジェスチャーをしない。
アフリカの禁忌
片手で握手する(ナイジェリア・ガーナなど)
理由
握手は「敬意」を表すものだが、片手で握るのは無礼とされることがある。
特に年上の人や目上の人には、必ず両手を添えて握手するのが礼儀。

避けるべき行動
目上の人とは両手で握手する。
片手での握手を避ける。
まとめ
日本では気にならない行動でも、海外では大きな誤解や失礼になることがあります。旅行やビジネスの際には、現地の文化やマナーを尊重することが重要です。
イスラム圏・インド → 左手の使用、公共のスキンシップに注意
アジア → 頭を触らない、赤ペンで名前を書かない、箸の使い方に気をつける
欧米 → OKサイン、ポケットに手を入れたままの握手、ナチス関連のジェスチャーに注意
アフリカ → 握手は両手を使う
海外に行く前には、現地の文化やマナーを事前に調べ、誤解を招かないようにすることが大切ですね!
今回も最後まで見ていただきありがとうございました。